‥★★★4 会社の利益は最大の味方〜Uターン経営者の正念場
こんにちは、コストダウンライターの嶋津典代です。
今回、取材にご協力いただいたのは、年商5億円、九州に8店舗を持ち、コピーやプリントアウトなどを提供する事務サービス会社の社長さんです。
■心をえぐる名言
――まずは、コストダウンコンサルティングに申し込まれたきっかけからお聞かせください。
社長:福岡の人間が、東京の会社を知る手段なんて、インターネットしかないでしょう(笑)。私は検索するときにはMSNを使っていて、「コストダウン」と入力して、1番目に表示されたのが、スーパーコストダウンドットインフォでした。タイトルがつらなる中で、一番、わけがわかんないタイトルだったんですけど、まぁ、この窮地を誰かが救ってくれるなんていう幸運は捨てていたときでしたから、冷やかし気分でクリックしたんですけど……。
――ホームページをご覧になっていかがでしたか?
社長:いきなり「みんなを幸せにします」と書いてあるでしょう。そもそも、営業ツールであるホームページに、「幸せ」などと書いてある会社なんて、見たことがないでしょう。ここは絶対、詐欺師の会社だと思いました(笑)。おまけにトップページには、営業的な売り込みが全然なくて、「みんなで力を合わせてがんばろう」「会社のみんなが心と力を、ひとつに合わせれば、必ずできます」と宗教チックな文章がバンバン書かれているじゃないですか。その上、実践セミナーまで用意されていて、自己啓発セミナーか!?みたいな。最初は、120%信頼してませんでしたよ。
――山田先生の写真が、なおさらその印象を強くしたのかしら(笑)
社長:かもしれませんといったら、叱られちゃいますね、私の救世主なんですから(笑)。でも、うちのような事務サービス会社を使うと経費削減になりますから、もしかしたら、東京発のいい情報をもらえるかなと思って、メールマガジンには登録しておきました。
――毎週届くメールマガジンは役に立ちましたか?
社長:やっぱり、面倒臭くて、たまに読む程度のものだったんですが、「今日の一言」には心打たれるものがあって、これだけは毎回読むようにしてました。「会社は、社長の器以上に大きくならない」なんて、心をズタズタにえぐる名言ですよね。うちはこれ以上、大きくならないのか。日の目を見ないまま潰れちゃうのかよ!って、断崖絶壁から突き落とされましたね。
――そんなに厳しい経営状態だったんですか?
社長:起業してから3年くらいですが、最初は新しい商売ということもあって、順調に延びていきました。追い風に乗って、九州の主要都市に次々と店舗を持って……。それが、全国チェーンの大型店が進出してきたとたんに、風向きが変わりました、完ぺきに。はなわの佐賀県の歌じゃないけど、吉田屋は吉野家のないところでしか生きていけない。そこに吉野家が上陸したら、もう、お手上げですよね(笑)。
――そもそも、この事業を始めたきっかけは何だったんですか?
社長:東京の会社で事務職をしていたのですが、成果報酬の採用など面倒臭くなってきたので、田舎にでも帰ろうかなぁと考えていたときに、会社の近くにプリントアウトやコピーなどを行う店がオープンした。九州にはない新商売だからと安易に始めてしまったんですね。ひとかけらのノウハウもなく。だから、大型店への対抗手段は、値下げしか考えつかない。それしか知恵がないんですよ。でも、たかが8店舗で値下げ競争に参加しても、勝負は見えてますよね、赤字のオンパレードです。
■銀行からの催促が始まる
――それでは、今日の一言が突き刺さりますよね。
社長:いろいろ頑張ってやってたんですが、資金繰りに追われる日々。そこに追い討ちをかけるように、銀行からは矢の催促。うちは大口融資だったらしくて、3日おきくらいに電話がかかってくるし。とにかく、銀行の管理下みたいな状況に陥ってしまって……。「すぐに1,000万円を返済しろ」くらいの勢いで、「自宅を売ってはいかがですか」と慇懃に迫られるし、首が回らないとは、まさしくああいう状態をいうんですね。
――よかったですね。のんびりと昔を振り返る余裕があって……。
社長:本当にやれやれです。たまたま、スーパーコストダウンドットインフォがヒットしたおかげ。他のホームページをクリックしていたらと思うと、夜逃げものですね(笑)。スーパーコストダウンドットインフォには、企業再生コンサルティングというのがあって、コストダウンコンサルティングではなくて、民事再生法なども含めて、また会計事務所として、決算も全部見てくれるセット的なサービスがあるんですが、「プロが、スーパーコストダウン術を駆使して、企業再生させます」なる謳い文句に誘われて、ふらふらとクリックした成果ですね。
――メールマガジンにも、「不死鳥のごとく企業再生したいですか」というリンクがありますね。
社長:あのころは、民事再生法や会社更生法の違いもわからなくて、とにかくラクになりたい一心で、山田先生のホームページで内容を理解して、民事再生法にいっちゃおうかなんて、バカなことを考えたりもしました。でも、すべてをほっぽり出す前に、ダメモトで、山田先生にアタックしてみるかと、ご連絡したんです。
――福岡・東京間のやりとりはいかがでしたか?
社長:最初はメール交換をしていたんですが、それはきついじゃないですか。返事を待つ時間が、神経に悪い。山田先生もメールではらちがあかないと思われたのか、「IPフォンにするように」とご指示を受けたんです。「えっ、IPフォン? IPフォンって、パソコンに向かってしゃべるアレですか?」と間抜けな対応をする私にも、山田先生は愛想を尽かすこともなく、きちんと説明してくださって、「うちはYahoo!
BBに入っているから、あなたもYahoo!
BBに入りなさい。そうすれば、電話代はタダになるから、長電話できるよ」と(笑)。
――IPフォンを利用されるとは、さすがコストダウンのプロですね。
社長:そのとき、こういうことをやってくれる先生なんだって、気がつきました。これがコストダウンというものなのかと。スーパーになったら、もっとすごいことが起こるかもしれないと。200%お任せしようと思ったきっかけですね、これが。
――山田先生のコストダウンコンサルティングはいかがでしたか?
社長:店を見て、開口一番、「すべてが新品じゃないか」ですよ。私が創業するときコピー機などの取得費やトナー代もかからず、ランニングコストを負担するだけで、起業できるというフランチャイズに加盟。本部が持ってくるまま、いわれるまま、何の疑問も持たずに営業していたんです。だって、新規開店だから、新品は当たり前でしょ。現実に、このシステムだと、支払いはランニングコストだけですから、1枚いくらで原価計算できる。しっかり経営計画を立てていたので、楽勝モードだったんですが、価格競争が勃発するなんて、予想もしませんでした。
――不測の事態への対応力ですね、必要だったのは。
社長:そういうシステムの中に組み込まれていると、やりくりができないんです。山田先生からもきつく、「そもそもタダなんてことがあると思いますか?」と社会の仕組みを説いていただきました。それはそうですよね、ランニングコストだけで本部は儲かる仕組みになっているわけですから。当然、ランニングコストに新品のコピー機代などすべての費用が反映させられている。上乗せされていなきゃ、慈善事業ですものね。
■中古利用で、危機脱出
――現在もそのフランチャイズに加盟されているんですか?
社長:いえ、やめました。山田先生のご指示どおり、インターネットで中古のコピー機を調べて、しかも、そのままインターネットで注文するのではなく、必ず現物をこの目で見てから購入する。現物を見て買うなら、やはり東京ですね。地方に出てくる中古品の数と東京に出回っている数では100倍違う。東京で暮らしているときは、物価が高いとぼやいていましたが、独立開業するなら、東京で調達することですね。いいものを安く手に入れることができる。うちのコピー機は東京で仕入れた新古品ばかりです。
――中古のコピー機を利用して、赤字は解消されましたか?
社長:もちろん、リサイクルトナーも使用していますから、ランニングコストは3分の1くらいになっていますね。金額でいえば年間3,000万円くらいのコストダウンですね。苦しい時は年間1,000万円の赤字でしたが、2,000万円の黒字になりました。
――では、銀行への返済も順調に?
社長:家は売らなくて済みましたが、そんなに右から左に返済できるものではありません。コツコツ返していくしかないんですが、銀行へはきちんと利益計画を示して、返済を待ってくれるよう説得に行きました。山田先生にもご一緒に来てくださって、懇切丁寧に説明していただいたのもプラスになったようです。
――最高のサポーターですね。
社長:おかげさまで、以前のように、銀行から信頼されない状態からは脱出できました。銀行の判断基準って、赤か黒か。赤字なら督促の嵐ですけど、黒字なら待ってもらえるんですね。もっと黒字になれば、新たな融資も可能だといわれました。現金な商売ですよね、銀行って(笑)。しかし、このことで、初めてわかったんですよ。会社の利益がいかに大切なものかと。すべての信頼は会社の利益に裏打ちされるんですよね。山田先生が最高のサポーターなら、会社の利益は最大の味方。これからはコピー機の固定資産税を払ってでも、コツコツ、会社の利益を大切に出していきたいと思います。
――「会社の利益は最大の味方」とは名言ですね。
社長:ずっと味方につけておくためにも、コストダウンに頼りっぱなしじゃなく、新しい営業展開も必要です。たかが3年ですけど、東京はすごく変わりましたね。まったく状態が違う。デジカメプリントやノートPC持ち込みサービスなど新サービスが目白押しで、それと比べれば、うちなんかただの田舎のコピー屋、吉田屋そのものです。これが地方と東京の差かぁって……。東京の会社が地方に進出すれば、絶対に負けるんだなと納得しました。
――今日も、東京へは仕入れでいらしたんですか?
社長:ええ、山田先生からも「月に1度は東京へ偵察にいらっしゃい」といわれていますから……。仕入れをかねて、同業巡りをしています。大手に勝つためには、スピードも必要ですからね。山田先生の事務所は八重洲ですから、羽田から1本でしょ、毎月お伺いして、知恵もつけていただいてます。もちろん、経費削減、格安航空券を使った日帰り偵察ですけど。
(注)体験談は、実際の体験を通して、スーパーコストダウン術を分かり易く、そして楽しく会得することを目的としています。そのため、多くのフィクションが含まれています。
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