‥★★★63 請求書は宝の山〜新たな砦を築く
■ゼロベースで積み上げる
本来、経費は、常にゼロベースで積み上げられるべきものです。ゼロでも、そのままでも維持できるかもしれない。たとえば広告費は、この売上をあげるために、どれだけの広告費をかけるべきかを考えなければいけないのに、去年の金額+αいくらという考え方をしているから、最適化が図れなくなります。
接待交際費にしてもそうです。すべてゼロベースで積み上げ直さなければならないのに、前例主義が通っています。このため、前年度のムダがそのまま移行されることになります。
企業では、原価管理をきちんと行う必要があります。前例主義でメスを入れずに放置してたら、競合他社との価格競争で負けることになります。たとえば、鉄の仕入れ値を1キロ当たり1円でも下げることができれば、1カ月10tの仕入れで、月1万円のコストダウンになります。1円でもバカにならないわけです。
企業では、反復継続的に仕入れを行いますから、1年で12万円、10年間では120万円、20年間で240万円にもなります。
長いつきあいの業者は要注意です。担当者が変わっても、創業当時から、あるいは先代からつき合っているような業者。会社のことはよく知っていて、新任でもトラブルなく納品してしてくれる。手間がかからず、社員にとっては、ラクだという世界です。
しかし、ラクだけど高いということもよくあります。調べてみると、競合他社の1.5倍の料金で請求されていた――。
長いつき合いだからと、比較をしない。そもそも継続・承認されているものに対して、業者の変更やそのための面倒な作業を行う社員は、まず、いないでしょう。そういう発想事体が、もともとないため、高コストが温存されやすいのです。
現在のA業者ではなく、B業者から仕入れると単価はいくらになるか。また、業者を介さず、直接メーカーから仕入れることはできないか。相見積をとり、一個一個、すべてを積み上げ直し、代替案を模索します。
■コストダウンや経費の見直しはトップダウンで行う
新製品の梱包を丸ごとアウトソーシングしていたなら、他社の費用はいくらか。また、社内で作業すると、人件費を含めたコストはどうか。梱包資材を社内で仕入れ、梱包作業だけを外注したほうが安くはないか。また、梱包資材や個数は適正なのか。
実際に使われた経費は取り戻すことはできませんが、すべての項目に対し、請求書を検証することで、「来年はこのようにしてください」と具体的な行動を示すことができます。
アウトソーシングや仕入れなどを含めた取引業者に対し、請求書を検証し、相見積→比較→検討し、毎年、代替案を探ることが経費の見直しには不可欠です。
納期や締め、値引きやアフターフォローの問題、はては担当者の人柄も含めて、最適な仕入先を選定する。仕入れは継続的な支出ですから、いい業者と取引し、ダメな業者を振り落としていかなければいけません。
人間にはラクしたいという欲求があります。コストダウンや経費の見直しは、社員が自主的に行うことはありません。社員に任せたら「節電」などコストダウンにならないような案が出て、実質上はやってないに等しいにもかかわらず、「がんばっています」というアピールばかりになります。
結局、責任のある者が自ら意識を持ち、トップダウンで行わなければ、社員は動きません。
楽天の三木谷社長が、創業当時、年間500社を営業した話は有名ですし、地酒VANサービスで評判を得ていた岐阜県の三輪酒造に自ら赴き、出店依頼した話もいまだに話題にのぼります。このように、自社に必要な仕入先は、自ら開拓する。いい仕入先を確保するための鉄則です。
社長自らが、コストダウンの陣頭指揮をとり、新たな予算の砦を築いていきましょう。
■参考 経費削減 コストダウン 事例方法
‥★★★21 全般 価格比較(相見積)サイト集まれ!
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