‥★★★52 アウトソーシング先の分散化
■アウトソース先が1社ではリスクが高くなる
きちんとした仕様書ができるようになったあとに行うことは、アウトソース先の分散化です。常時、依頼するような仕事では必ず分散させなければいけません。しかし、専門業者は質のバラツキがあるため、質の高い外注先1ヶ所に集中することになりがちです。
仕様書を書かなくても、「いつもどおり、よろしく」で頼めるA社があるとすると、全社員がA社に依頼することになります。
リスク管理の観点から見ると、A社1社に集中するのはリスクが高くなります。A社の社長が交通事故に遭ったら、仕事は継続不能になります。
また、発注企業の組織が大きくなれば、A社がオーバーフローする可能性もあります。アウトソース先が同じように規模の拡大をすることは、ほとんどありません。A社の社長が仕事のしすぎで倒れたりしたら、お互い不幸です。そのため、組織の成長に合わせて、常に新しい外注を開拓していく必要があるわけです。
トヨタ自動車では新しい部品開発などの際、系列会社との密接な関係なくしては実現できないため、関係を強める一方、新しい取引先にも積極的に門戸を広げています。
系列のような関係がない業界では、発注先の意図を汲むことのできる外注先はレベルが高いため、ほかの取引先からの依頼も殺到する可能性があります。納期が遅れがちになるというリスクもあります。そのためにも、分散化する必要があるわけです。
中小・零細企業では、社長が外注先を開拓しなければいけませんが、見つけたら、まずは試してみる。それで良ければ、コミュニケーションをとりながら、育てていく姿勢が必要です。A社といい関係を継続しながら、B社、C社、D社……と輪になるように、それぞれと太いパイプで結んでいくのがベストです。
■アウトソース先とは上下ではなく、対等関係
日常的な業務をアウトソースしている場合、よくあるのが外注先を社員と同じように考えること。「今日は飲み会行くぞ。つき合えよ」というのは、社員ならばできますが、外注先に突然電話しても、迷惑になります。
社員とは雇用関係にありますから、いわば結婚しているようなもの。外注先とは恋人関係ですから、ある日突然、「さようなら」もあります。そうならないように、お互い努力し、一生懸命に仕事をする。そして、お互いにダメならば別れるという緊張感のある関係です。
「イヤだったらやらねぇよ」という若者のような対等関係であり、いまの時代に合っています。昔のように「仕事をやってやる」「仕事をやらせていただいています」という上下関係ではありません。
ベタベタ、癒着するのではなく、サバサバした関係。ある意味、冷たい関係ですが、気負いがない分、21世紀の時代に合っているといえます。
|