‥★★★50 自動車業界に見る21世紀の仕組みづくり
■20世紀とは異なる仕組みをつくる
21世紀の経営は、多品種少量生産が基本です。少ロットで多種、スピードをつけて短い時間でアウトプットする。20世紀のような大量生産、大量消費時代ではありません。
国際競争の中で生き残るためには、コストダウンを行い価格競争力、および顧客満足度を高めていくこと。そして、ひとり一人の顧客と長くつき合うことが利益につながり、その利益から研究開発費にかけることで次の利益を生んでいきます。
20世紀とは仕組みを変えなければ、実現不可能。時代が変わっているのに、いつまでも「技術の日産」といっていたら、赤字を垂れ流すだけになります。
自動車メーカーのような調達部品の多い業界では、自社だけでコストダウンを行っているのでは限界があります。トヨタ自動車では、部品・資材メーカーともに行う原価低減活動、「CCC21」(コンストラクション・オブ・コスト・コンペティティブネス21)を2000年から開始。
「30%の原価低減」を目指しており、系列会社でもこの要求に応えられなければ系列外からの調達に切り替えます。部品メーカーでは、「カイゼン」してコストダウンをせざるをえないわけです。系列各社は億単位のコストダウンに成功、トヨタの生産台数の増加に伴い発注量も増え、最高益につながっています。
一方、原価低減につながる新技術・新製品を部品メーカーが提案できる「サプライヤーズセンター」を本社敷地内に設置。海外部品メーカーからの購入額も増加しています。
■効率的なオペレーションを行う
また工場管理の無駄を省き、人件費を含めた固定費を省くようなオペレーションができれば効率化ができ、コストダウンにつながります。そのため古い自動車工場を閉鎖、新しい工場を新設しています。
日産自動車では、神奈川県の座間工場(神奈川県座間市)を1995年に閉鎖。その後の日産リバイバルプランによって、2001年3月に東京都の村山工場、日産車体京都工場、愛知機械港工場、2002年3月には久里浜工場、九州エンジン工場を閉鎖しました。
村山工場跡地は、2002年に譲渡され、譲渡益は約500億円にも上り、日産リバイバルプランに大きく貢献しました。系列・取引企業は1145社から600社以下へ削減しました。
単純に考えると新日本製鉄名古屋製鉄所がトヨタ自動車やホンダなどと取引しているように、自動車メーカーでは、製鉄所の近くにある工場のほうが効率化を図れます。
さらに製鉄所の多くは港湾近くにあることから、完成した自動車の配送にも都合がいいわけです。都内の村山工場の閉鎖は当然の結果といえるでしょう。
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