‥★★★46 従業員も仕入。仕入には執着しない
■仕入先の選定方法とは?
仕入を安くする方法として、多くの人が思い浮かぶのは、同じ商品を扱っている企業数社に見積もりをとり、安いところを選ぶという方法でしょう。しかし、仕入をコストダウンする選択肢には、いろいろあります。
商品そのものを変える方法です。いま仕入れている商品とまったく同じでなければいけないというルールはないはずです。メーカーは異なっても、世の中には似通った商品がたくさんあります。ちょっと違った商品でもいいわけで、究極をいえば、好転する見込みがない業種であれば継続するよりは、異なる業種に変えることも考えられます。
仕入には現金問屋を使う方法もあります。あるいは売掛ではなく、現金で購入する。業者を探すのにはインターネットで調べるのが便利ですが、メーカーに電話をかけて、「直で仕入れさせてください。現金で支払います」と交渉する。現金で支払うといえば、相手先にとっても与信が不要になるから好都合です。
その代わり、「この金額でお願いします」と伝える必要があります。相手先が「いいですよ」といえば、契約成立です。
恋愛でも「好きだ」といわなければ、つき合いに発展しないのと同じように、口に出さなければ何も始まりません。断られたら落ち込まず、気を取り直して次を探せばいいのです。
■ムダな支出を垂れ流さない
重要なことなので、くり返しになりますが、コストダウンの要となるのは細部の詰め。「なんでもディテール」がキーワードであり、初歩論です。細部の詰めが甘いから、積もり積もって赤字になるのです。
お金が出ていく「支出」の集計は決算書、個別の勘定科目に出ますが、それが効率的に支出されているかどうかは現れません。きちんと評価しないで「下げろ」といっても、不可能です。これまで数回に渡って説明してきたように通信費、荷造運賃、会議費と接待費、人件費、福利厚生費、調達コストなど全部ディテールに、効率的に行っているか、代替手段がないのかを調べます。このようにやっていくと、必ずムダな部分が明らかになります。
ムダをつくっているのは人間ですから、実力のある従業員、ない従業員がハッキリします。ダメな従業員に対しては警告しなければ、ムダなお金を垂れ流すことになります。
普通郵便ではなく、宅急便やバイク便ばかりを使う従業員がいれば、
「バイク便ではなく、普通郵便を使ってください」
と言わなければならないということです。1カ月経ってもまだバイク便を使っていれば、人件費以上に会社に損失を与えているわけですから、「辞めてください」と言わなければいけないのです。
従業員も仕入です。執着せず、使えなければ手放すのもコスト削減になります。「いつか化ける」と期待していても、本人が変わろうとしない限り、徒労に終わります。
そのほか私用電話が多い、残業して食事代を浮かせている……。不正なことを行っている従業員もわかります。トップがまじめに、真剣に経営を行っていないと、組織が腐っていきます。リコール隠しを続けていた三菱自動車、牛肉偽装事件の雪印食品など、企業として社会的存在意義を失い、存亡さえ危うくなります。
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