‥★★★45 交渉に応じない仕入先とはつき合わない
■仕入先との交渉術
仕入先との交渉は、次のように行います。こうしたことを言えるかどうかは、営業の腕にかかっています。いつ言うかはタイミング。タイミングが一番大切です。
「すみません、うち赤字なんです(本当は黒字でも)。単価を下げてくれないと、私は今日帰れません。明日、クビになります(クビにならないが)」
「しょうがない1円だけ下げてやるか」
「ありがとうございます(口には出さず、頭で月間1万個を仕入れているから、1万円のコストダウンになるなと計算する)」
笑顔で帰ったあと行うのは、できるだけ早く感謝のお手紙を添えて、酒などのお礼の品を贈ること。ビジネス社会で賢く行き抜くにはウソも方便。実直だけでは交渉はできません。
一方、取引がなくなるよりは、条件を飲んで継続したほうが得策だとわかっている仕入先であれば、スムーズに応じるでしょう。下げた分はコスト削減をすればいいだけです。月間1万円であれば、簡単に下げられます。グタグタと文句をいう会社であれば、取引を中止し、別の仕入先を探せばいいだけです。
一方、逆に売り先であるお客さんに対しては、高く売ります。
「すみません、5,000円だけ上げてください。うち赤字で瀕死の状態なんです」
■売上アップよりも仕入先と交渉したほうが早く結果が出る
結局のところ、売上を上げるのと仕入を下げるのは、同じこと。仕入は売上に比べると数が少ないため、交渉するのは仕入のほうが早いのです。
まず小売を考えてみましょう。毎日数百、数千のお客さんが来店します。たとえば大手流通チェーンのイオンだと、日本全国に「ジャスコ」があります。すべてのジャスコを利用するお客さんを考えると、1億人というマスの世界になります。一方、仕入先ならば数千、数万の企業に限定されます。
小売でなく弊社のような会計事務所でも、従業員も仕入ですから、仕入のほうが少ない。請求書を送る枚数と、請求書が届く枚数を比較すればわかります。規模にもよりますが、多くの業種で届く請求書のほうが少ないはずです。
多くの経営者が売上アップに目を向けがちですが、実は仕入先と交渉するほうが、結果は早く出ます。トヨタ自動車は「乾いたぞうきんを絞る」と表現されるように、常にコスト削減を行い、生産現場ではわずか1円でも手を緩めないといわれます。北米での好調な販売もありますが、2004年度第一・四半期(4−6月)連結決算は、売上高、最終利益とも過去最高。売上高は前年同期比10.2%増の4兆5,103億円、最終利益は28.8%増の2,866億円に達しています。
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