‥★★★43 人件費は一律では下げられない
■見合う給料を払っているか?
人件費は支出だけではなく、売上とも密接な関係がありますので、「売上を誰が上げていますか?」についても調べていきます。要するに、「見合う給料を払っているかどうか」も行うということです。
たとえば、売上を上げている20代男性、Aさんの給与が20万円。彼より売上は低いけれども課長代理の30代男性のBさんが40万円だとします。本来ならば、売上を上げているAさんに40万円に払い、Bさんは20万円にしなければいけません。その際、Bさんと交渉することになります。
「Bさん、給与に見合う働きをしていませんので、20万円に下げます」
「私は、20代のときに20万円で、がんばってきました。30代で、役職もあるんですから、40万円をもらって当然ではないでしょうか?」
「昔は昔です。いま、稼いでいないから、支払えません。労働契約とは、『労働者が会社に対して労働力を提供することを約束し、会社がその対価として報酬を与えることを約束することによって効力を生じる』ものです。それが不満ならば、辞めてもらって結構です」
会社として、稼げない人に高い給料は払えません。それをやっていたら、会社としてのムリが、赤字というかたちで出てきます。また、稼げない人に高い給料を支払い、稼げる人が安い給料ならば、若くて優秀な人が退職します。会社として大切にすべき正社員はだれなのか、つねに意識する必要があります。
■福利厚生費は残業食事代が問題
経費は、これまで説明してきた以外に福利厚生費があります。勘定科目の問題ではなく、すべての支出について細かく調べて、全支出が最適化されているかどうかを分析します。福利厚生費であれば、次のように質問していきます。
「福利厚生費を何に使っていますか? 残業食事代ですか? スポーツクラブですか? 保養所ですか?」
「残業食事代です」
「どうして、こんなに高くなるんですか? ひとり当たり、いくらですか? どういう基準ですか?」
残業食事代は、効率よく仕事をしていれば、高額になるものではありません。勤務時間中、ダラダラと仕事をして、残業するのが当たり前になっているから、残業食事代もかさむのです。
あるいは、作為的に残業をして食事代を浮かしている従業員がいるかもしれません。会社としては把握していなくても、従業員同士は「あいつ、いつも遅くまでいるよな」と気がついている場合が多いのです。社内告発ができるしくみづくりも必要です。
また、従業員の制服もムダな出費となります。本当に必要かどうかを考えず、採用している会社があります。制服があると、個人のロッカーや更衣室が必要になり、ムダな経費とスペースをつくっていることになります。
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