‥★★★42 経費削減の要となる人件費
■給与分を稼いでいるのか?
「人件費を落とす」というと、「何人解雇するのか、だれを解雇するのか」という議論になりがちです。しかし、まず行うことは、給与明細を見ることです。
1.誰に、どれだけの給料を払っているのか
2.給料分を稼いでいるか
日本ではまだまだ年功序列の給与体系の企業が多く、仕事の能力とは関係ない年齢がモノサシとなっています。年齢とともに給与が上がるという年功序列型賃金が、赤字の要因となっている会社が多いのです。
朝、公然と新聞を読んでいる管理職にも、月50万円を支払っている会社があります。会社の利益は、従業員ひとり一人が給与の3倍を稼がないと出せません。この管理職であれば、月150万円を稼がなければいけないわけですから、会社で新聞を読んでいる時間はないはずです。
もうひとつ多いのが、パートタイマーでできる仕事を正社員がやっていること。通常、リストラというと、パートから人員整理していきます。しかし、パートがいなくなると、正社員が代わりにその仕事をしなければならなくなります。
わかりやすいのが、電話受付業務。正社員がずっと電話をとっていたら、パートであれば時給1,000円で済んだものが2倍以上の人件費がかかり、赤字になります。正社員が行うよりも、アウトソーシングのほうが安く済みます。
■部署ごとの人件費も同時に考える
ひとり一人に対し「給料の支払いに見合った仕事をしているか」を見ていきます。従業員が50人いれば50人、100人いたら、100人すべて見ます。人件費はひとり一人とともに、部署ごとの判断も必要になります。
各部署のトータルの人件費、それに見合った仕事はされているのか。部署ごとで、ちゃんと成り立っているのか――。パートで十分な仕事を正社員がやっていないなど、細かくチェックしていきます。
経理や総務など事務部門は、われわれプロが見れば、規模に応じた必要な人数や従業員の質が判断できます。
営業部門は数字で結果がわかります。部長は統括して、利益を生み出しているのかを調べます。次に得意先ごとに見ていきます。売上が低いお客さんには、営業担当者をつけるのをやめて事務のパートを担当にする。営業すべてをやめて、ホームページと顧客対応をするパートだけにする方法もあります。
通信費、荷造運賃、接待交際費などの経費は、これまで説明したように従業員ひとり一人調べていますから、給与分とあわせて、ひとり一人に次のようにいいます。
「経費として、あなたにこれだけ支払っています。その分、稼いでください。あるいは給料を下げるか。どちらにしてください。」
「給与と稼ぎ、使っている経費」を従業員に自覚させるわけです。単純明快です。会社員は、一般的にこうした発想をしません。20世紀の右肩上がり、終身雇用、年功序列型賃金で、今後もいくだろうと楽観的にとらえているからです。
21世紀は、成果主義の賃金体系が当たり前になっていきます。経営者だけではなく、平社員であっても「給与と稼ぎ、使っている経費」を自覚しないと、生き残れなくなります。
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