‥★★★39 ブランド力のあるホームページが会社の資産
■無形固定資産、ブランドの時代
時代とともに良い資産は変わっています。昔は不動産であり、儲かったら自社ビルを建てていましたが、いまは前近代的な資産になっています。
世間から見ても資産をもっている人は、東京の一等地、銀座にビルを建てたオーナーではなく、楽天の三木谷浩史氏やソフトバンク・グループ代表の孫正義氏に変わっています。孫氏のイメージは、ソフトバンクよりもYahoo!のほうが強くなっています。
いまの時代の商売人は、不動産を買いません。自宅は買っても、本社ビルを建てる時代ではありません。不動産を購入するというのは自己満足、あるいはお金をかけるものが見つからないから、「とりあえず不動産を買っておくか」という感覚にすぎないのです。
不動産を購入するお金があれば、無形なものに投入して、本当の価値を見い出していく時代です。これがわかっている経営者、企業がどんどん伸びていきます。
それでは無形なものとは、どのようなものでしょうか。まずブランドです。ブランドほど利益効率の高い資産はありません。自社ビルが生む不動産利回りとしては5%程度ですが、ブランドから導き出される利益は計りしれません。ブランドは一生化します。持っているだけで利益を生み続けるのです。
この価値は、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)の動きを見ていればよくわかります。LVMHは、1987年にルイ・ヴィトンとモエ・ヘネシーが合併して誕生したフランスの高級ブランド企業。アルノー会長の拡大路線を推し進め、ロエベ、クリスチャン・ディオール、セリーヌなどを買収。ファッション以外にも、酒類や流通企業を買収し、傘下に20以上のブランドを持っています。
アルノー会長は、96年からそれまで古いイメージがあったフランスのブランドに英米のデザイナーを採用することで、イメージ転換を図り、ブランドの再構築をしました。同時に生産性や収益性も求め、企業価値を高めたのです。
ブランドの価値を知った消費者は固定客となり、安定した利益が確保され、宣伝・プロモーション費用や営業にかかる人件費がコストダウンされます。ブランドは企業や商品のイメージを高め、よりよい人材の確保、取引先や金融機関との関係をプラスに導きます。そして、ブランドを冠に他の事業への進出が容易となります。
■ブランド力のあるホームページは強い
無形固定資産は、ソフトウェア的なもの(特許権、プログラム著作権、コンテンツにかかる著作権など知的財産権)もあります。
Yahoo!を買収すれば、資産です。無形固定資産はすべてを経費として処理できる上に、無期限の利益が埋蔵されています。ブランド力のあるホームページは、巨大な自動販売機のようなもの。缶ジュースという在庫も必要なく、お客さんが寄ってきて、勝手にアクセスして、勝手にお金を落としてくれるのです。
価値あるホームページは、コストダウンの救世主であるとともに、低リスクでの事業展開を可能にします。その旨味を知るネット企業は、一からつくるのではなく、積極的に買収を進め、ブランドを手に入れています。
たった13店から始まった楽天市場は、いまや日本最大のショッピングモールとなり、儲けたお金をビジネスに再投資しています。インフォシーク、旅の窓口やDLJディレクトSFG証券(現・楽天証券)など10数社を買収。楽天の企業力は増すばかりです。
エッジから社名変更したライブドアも積極的に買収を行っています。
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