‥★★★36 リースとは終わることのないファイナンス
■お手軽リースの落とし穴
現金でモノを購入するのが一番ですが、会社にキャッシュがなければ、借入かリースに頼らざるをえません。今回は、リースを使うことがコストダウンになるかどうかを考えてみましょう。
リースの代表格といえば自動車ですが、ビジネスよりも趣味的な使い方で普及しているといえます。リースとは賃貸借取引を意味しますが、会社のために利用するリースは、ファイナンスリースです。必要とする設備や機器をリース会社に購入してもらい、賃貸するシステム。つまり、購入金額の融資と同じです。しかも、リースの金利は高いのが特徴です。
リースの利点として挙げられているのは、次の6点です。
(1)まとまった資金の必要がなく、手持ちの資金を運転資金などに活用できる
(2)月々のリース料は経費として損金処理できる
(3)銀行の借入枠は手つかずに残すことができる
(4)減価償却や固定資産税納付、損害保険の支払いなどの事務処理が省ける
(5)常に新機種を利用できることにより、設備の陳腐化が防止できる
(6)銀行の融資ほど査定が厳しくない
リースは、レンタルと違います。もう使わないからと言って、リース資産を返して、リース料を払わないことは、できません。結局リース満了まで、使っても使わなくても、リース料を支払わなければ、なりません。
■一生かかっても、使い倒せない
100万円の機械を物件価格×2%のリース料で、5年リースをすると次のようになります。
総リース% 2%×12カ月×5年=120%
総支払額 100万円×120%=120万円
現金で購入するより20万円も高くなり、100万円で購入した場合の2割増になります。5年間のリース期間満了後、そのまま使いたければ再リースになり、1年単位で契約を更新します。6年目は月0.5%×12カ月=6%、7年目は3%、8年目は2%、9年目は1%ぐらいです。
本来なら、5年の減価償却後は固定費ゼロで使い倒せるのに、リースではさらに費用を負担しなければいけません。それでは、なぜ多くの会社はリースを使うのでしょうか。キャッシュがないからです。
キャッシュがなければ、借入とリースに頼るしかありません。2つとも審査があります。借入のほうが金利が安いから、当然審査が難しい。借入ができないから、リースに入らざるをえないのです。
コストダウンの基本はキャッシュで買うこと。「現金で買うから、安くして」と交渉ができます。ムリしてでも現金で買うほうが、コストダウンになります。次は借入です。安易にリースに手を出してはいけません。リースをした時点で、会社の勝敗はついています。リースを使い続けている限り、儲かりません。
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