‥★★★35 メンテナンスと買い替えの見極め
■出張修理保守サービスは利用すべきか
会社のモノは、何が何でもメンテナンスして、使い倒す必要はありません。建物のような高額なモノであれば、メンテナンスする必要がありますが、OA機器は年々安くなっています。メンテナンスにコストをかけるよりも、買い換えたほうが安いこともあります。
最近、出張修理保守サービスを提供する業者が増えてきていますが、実際、この契約は使い倒すための利益となるでしょうか。ここで、市場価格20万円程度のレーザープリンタにかかる料金を見てみましょう。
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│ A社 │ B社 |
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│3年契約 154,000円(52,000円/年)| |
│4年契約 188,000円(47,000円/年)| 年間契約 67,000円 |
│5年契約 210,000円(42,000円/年)| |
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│スポット|出張料 1万円 │スポット|出張料 12,000円 │
│出張修理|技術料 1万円〜/1台 │出張修理|技術料 8,000円/30分 │
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確かにスポット出張修理費と較べれば、年契約のほうがトクに見えます。しかし、年契約のほうがトクになるのは、A社は5年契約で年3回以上、B社は年4回以上、プリンタが故障した場合です。そんな頻繁に故障するプリンタがあるでしょうか。
A社の料金は、購入と同時に契約を結ぶタイプですから、5年契約をしたら、20万円のプリンタ+契約料の20万円で、実質2台のプリンタを購入したのと同じ計算になります。
しかも、新品で購入すればメーカーの保証期間があります。1年間持ち込みでの無償修理などがついているわけです。出張修理保守サービスでは、技術者が来て、すぐに使えるというメリットはありますが、予期しないトラブルにあらかじめ経費を支払うのはムダでしかありません。
買い替えやスポット出張修理の利用など、その時々の状態に合わせた損得勘定を行ったほうがはるかに経費削減になります。
■買い替えを見極める
レーザープリンタの場合、買い替えの判断基準は故障ではなく、ランニングコストです。つねに維持費を意識すべきです。プリンタは他の周辺機器と異なり、紙とトナー(インクジェットプリンタであればインク)という消耗品を必要とします。新機種を導入することで、トナー代が安く済み、1枚当たりのランニングコストを抑えられるというメリットがあります。また印刷スピードもアップします。また、高価なプリンタほど1枚当たりのランニングコストは下がります。
プリンタを値段だけで選んでしまったり、古いプリンタを使っていたりすると、ランニングコストが高く、結果的に高価な機種を買うのと変わらない。あるいは高くつくということにもなりかねません。
1枚当たりのランニングコストが6円なのか3円なのか――。6円の古いプリンタや安いプリンタを使っていると、3円のプリンタの倍のトナー代がかかっている計算になります。
ブリンタが壊れてから購入するのではなく、ランニングコストを考えて、高機種の高いプリンタを購入するのです。そのほうがトータルでコストダウンになることは少なくありません。そして、古いプリンタを残して2台体制にする。よく出力をする会社では、トナー代の負担が大きくなりますし、また2台プリンタがないと、故障時に対応できません。2台体制にすれば、1台が故障して仕事が中断するというリスクを避けられます。
最後にプリンタ、コピー機、FAX機が一体した複合機について触れておきましょう。複合機は場所をとらないメリットはありますが、故障しやすいというデメリットがあります。壊れるとすべての機能が使えなくなります。FAX機は、いつでも受信できることがもっとも重要です。お客さんが何かを送りたいときに、FAX機が壊れていて「明日まで使えません」のでは話にならないからです。
場所とリスクのどちらが大切かといえば、リスクです。すべての物事においてもリスクは小さいほうがいい。プリンタ、コピー機、FAX機のそれぞれを購入したほうが、リスク分散になります。
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