‥★★★29 アウトソーシングの亜流、Webビジネス
■百貨店は巨大な展示場へ
インターネット通販やテレビショッピングは、営業をメディアへのアウトソーシングと、以前に書きましたが、ヤフー・オークションの一日の売上をご存じでしょうか。15億円。15億円ですよ、日商が! 月商なら450億、年商となれば5,400億円にも達します。実質売買高はどのデパートより大きいのです。今や、ヤフー・オークションは日本最大の百貨店です。
現に、ヤフーオークションでの成功をきっかけに、法人を立ち上げ、ヤフー・オークション一本で、年商何千万円を上げている経営者もいます。インターネットでの商いは、サイドビジネスやサブのビジネスから本業へ。その地位を逆転しつつあります。
商品を実際に見て、手にとって購入するという行動は、これからますます縮小していきます。ホームページの写真でははっきりわからないから、百貨店に実物のエルメスのバッグを見に行く。あるいは百貨店で買ったワインがおいしかったので、同じ銘柄のワインをインターネットで探す。もはや、百貨店はインターネットで商品を購入するための展示場と化しているのです。
消費行動の変化により、インターネット中心で商売を考えていかなければ、商品が売れなくなってきます。しかも、2011年には地上波テレビのデジタル化が完了し、双方向のメリットを生かした新たなビジネス展開も望まるでしょう。時代の波を読み取り、次の環境へスムーズにビジネスを移行するためにも、商売のインターネット化を実践し、知恵をつけておくのも先見性かもしれません。
しかし、Webビジネスは、店舗を構える商売のやり方と、その手法はまったく異なります。地上の商売なら、小さな商店が自社ビルに変貌していく様子を目にすれば、「儲かってんだなぁ」と認知します。
また注文を電話で受けていれば、かかってくる電話の本数で、その会社を訪れた人でもわかることができます。しかし、インターネットでは、実店舗がありませんから、誰が儲かっているか、どういうようにやって儲かっているかなど、一切知ることはできません。電話やファクスの注文ならば、従業員であれば「好調だな」とわかりますが、電子メールでの注文だと従業員でもわからないのです。
マンションの一室で年商10億円の世界ですから。まさしく匿名性です。それゆえ、その商売を真似ることもできません。現実に、インターネット上で、今、何が売れているかを把握することすら困難です。その商品がヒットし、目に見える形で伝わってきた時には、もう、ブームは下火になっているのです。
■Webビジネスの動向は表には現れにくい
その昔、といっても今から10年ほど前ですが、日本ではナタデココが一大ブームになりました。コンビニや食品メーカーから外食産業まで、こぞってナタデココ関連の商品を連発し、産出国のフィリピンに、ナタデココ長者を出すほどの熱狂振りでした。
そして、ナタデココ長者の噂を耳にしたフィリピンの農家では、こぞってナタデココの生産に乗り出しました。全財産を投げ打ち、借金までし。しかし、その結果は言わずもがな。翌年の日本はパンナコッタに沸き、フィリピンには大量のナタデココと、多くの債務者だけが残りました。
ブームとは常にそういうものです。しかもインターネット上のブームは、サイクルがもっと早い。それは百貨店をぶらぶら歩くのではなく、欲しいものを検索という形でピンポイントに絞り込むからです。ダイエットに興味を持つ女性は常連のショップを2、3件はお気に入りにいれ、定期的に巡回し、新商品を見つけ、ヒットさせます。
少し前のパシュミナがそうですし、昨年のインターネットが生んだヒット商品といえば、「ヌーブラ」(シリコン製でバストに張り付く新しいブラ)でしょう。テレビでヌーブラが取り上げられた頃には品薄、実店舗では3ヶ月待ちも当り前の状態でした。
Webビジネスは、限られた情報しかありません。楽天が上場したとか、ビッターズが楽天に肉薄している程度。Webビジネスの商品の動向など誰も教えてはくれません。その商品をヒットさせている会社にしか、その売れ行きが見えていないからです。
このような一連の循環の中で、どのビジネスへ、どのような形でアプローチして、いかに儲けるか、そのために、インターネット上で情報をどのように手に入れるかという、問題も出きます。そして、同じ業種のホームページはどれも似通ったものになってしまいます。その中で、差別化を図る方法を考えなくてはいけません。
低価格に設定して、商品説明をより詳しくする。一般ユーザーのモニター結果の報告。支払いの簡素化、商品発送のスピード、魅力ある製品のラインナップなど。つまりは、いかにユーザーニーズに合い、購買意力をかきたて、かつ利用者に信頼感を抱かせるホームページを作成することにかかっているのです。そして、ヤフーなどの検索エンジンを最大限に利用すること。これがWebビジネスの基本です。
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