‥★★★27 ビジネスのコア以外はアウトソーシングできる
■営業のアウトソーシング
社内のほとんどの部門でアウトソーシング、専門業者に委託することができます。現に、人事はヘットハンティング会社や人材派遣会社に依頼している会社も多く、製造部門は、アウトソーシングの先陣を切っています。インターネット通販やテレビショッピングも、営業をメディアへアウトソーシングしているといえるでしょう。
インターネット通販やテレビショッピングは、店舗を構える必要がないから、販売員や営業社員を雇う必要がない。商品をその場で手渡す必要もないから、在庫がいらない。在庫がいらなければ、多くの在庫を抱え、商品管理に四苦八苦することもありません。ストレス・フリーでありながら、瞬時に全国規模の商売が可能なのですから、営業のメディア化は、最高のアウトソーシングです。
商品受注のテレフォンオペレーター、在庫管理、商品発送も、はてはクレーム処理に至るまで、営業のアウトソーイングにより、それに付随するほとんどの業務を、連鎖的にアウトソーシングすることが可能になります。しかも、アウトソーシングは場所を選びません。大阪のアウトソーシング業者だろうが、北海道だろうが、沖縄だろうが、どこでもかまわないのです。常時、連絡を取り合える体制さえ整えておけば、より条件の良い業者を選択することができるのです。
また、商品の受注をメールに限定すれば、アウトソーシングの過程を1工程減らすことができますし、アウトソーシングをフル活用すれば、新潟でも、九州でも、ワンルームマンションの一室でも、自由自在にビジネスを発信することができるのです。その構図をもっとも現実化しているのが、「ジャパネットたかた」といえるでしょう。同社は着実に成長し、2003年12月期(半期)の売上高700億円となりました。
■手放すもの手放せないものを見極める
「ジャパネットたかた」が、いくら完ぺきなアウトソーシングの図式を持っているからとはいえ、“高田社長以外はすべてアウトソーシング”なんてことはありえません。どれほどコストがかかろうと、手間がかかろうと、手放せないものがあります。それはビジネスのコアです。
「ジャパネットたかた」のコアとなる部分は、お客さんとの接点です。契約とクレーム対応。この2つの信頼業務こそが、お客さんを確保する最大のセールスポイントなのです。
もし、「ジャパネットたかた」で購入した商品の保証書が「激安PC商会」となっていたら?
もし、「ジャパネットたかた」に不良品のクレームを電話すると、「クレーム専門会社の山田が対応いたします」と返答されたら?
「ジャパネットたかた」のブランド力は、地に落ちます。こっぱ微塵です。これらの業務は、「ジャパネットたかた」自身がディレクションし、プロデュースしなければ、絶対に、お客さんは取れないのです。
契約の1件1件を自ら行えといっているわけではありません。クレームの1つひとつに頭を下げて歩けといっているわけでもありません。もっともベストだと思われる契約書を「ジャパネットたかた」の名前で作成し、業者からお客さんへ渡せばいいのです。最初のクレームは「ジャパネットたかた」が受け、あとの処理は業者に依頼すれば問題は起こりません。
つまり、責任の所在を「ジャパネットたかた」と常に明らかにしておくためのディレクションは、「ジャパネットたかた」自身でなければできない分野です。もちろん、手放せないビジネスのコアは業種によって異なります。ローソンならおにぎりの製造はアウトソーシングできても、新メニューの開発は業者まかせにはできないでしょうし、ホテル・オークラなら従業員教育を業者まかすことはできないでしょう。
コア以外のありとあらゆる業務をアウトソーシングすることが、これからの会社の課題です。しかし、会社の経営理念を社長自身が考えることができず、経営コンサルタントなどにアウトソーシングしては、経営がうまくいくはずがありません。また、歴史がある会社ほど社内でほとんどの業務を抱え込んいますから、アウトソーシングを進めるのは、難しくなります。
最終的には、経営者が手放すもの手放せないものを見極め、実行していく力が不可欠となります。世の中には、仕事をこなせる人間はごまんといます。なんらかの仕事をこなし、給料を得て、生活しています。しかし、商売をとれる人間はほとんどいません。100人中1人か2人くらいです。
|