‥★★★24 時代はアウトソーシングに向かっている
■昔から利用していたアウトソーシング
企業が積極的にアウトソーシングを導入しようとする動きは、まだ新しいものです。しかし、よく考えてみると、アウトソーシングとは専門業者を利用することですから、昔から行われていました。会計事務所、社会保険事務所、司法書士事務所しかりです。顧問の弁護士を雇うことなども、今流にいえば、アウトソーシングです。
特に、会計のアウトソーシングは進んでいます。その理由は単純明快、難しいからです。社内で会計のプロフェッショナルを育てようと思えば、膨大な時間とコストを費やさなければいけません。
・先生を雇う、もしくは専門の学校に通わせる
→人件費や教育費がかかる
・その間、会計業務や他の仕事をすることはできない
→利益:ゼロ
→損益:給料、会計業務委託費
・すべてが会計士として、業務をこなせるとは限らない
→落ちこぼれも、リタイアも出る
→スター会計士として独立してしまう
壮大な先行投資です。これほどのリスクを抱えてまで、自社の会計機能を持つ必要性を感じないからこそ、会計のアウトソーシングは普及しているのです。アウトソーシングを利用すれば、はるかに高能力で低コスト、かつ、常に確実な結果が得られます。つまり、専門的知識を必要とする作業は、プロフェッショナリティーの高い専門業者への“外注”というアウトソーシングする。昔から理にかなった常識だったのです。
また、ゼネコンによる“下請け”もアウトソーシングです。職人さんを1000人雇用するより、職人を抱えた工務店とリンクしたほうがパフォーマンスは高い。そして、この手法を利用すれば、東京本社から機能を移転させることなく、日本全国津々浦々の仕事を受注することができ、電話一本で工事を行うことができる。低コストを目的としたアウトソーシング化です。
■アウトソーシングの魅力は、低コスト
会計事務所と工務店が、同じアウトソーシングとして認識されにくいのは、「お願いする」と「仕事を回す」、単なる感覚の差です。しかし、この感覚は日本の風土的なものですから、多くの会社は社内で対応できるものは社内でこなそうとして、多くの社員を抱え込んでしまうのです。
まさに時代の流れに逆行した頑固頭です。今、時代はアウトソーシングに向かっています。プロフェッショナリティーが高くなくても、どんどん外に出す。社内で対応できるものでも外へ出す。外へ出せるものはすべて出す。いかに社員を使わない構図にしていくか。これが、コストダウンへの優先課題です。
アウトソーシングが低コストの理由は、その仕事を専門的に行っているからです。専門的に行っているということは、その仕事に特化したスキルとノウハウを持ち、もっとも効率の良いシステムを構築しているため、低料金で多くの仕事を受注できる薄利多売方式なのです。
たとえば、新商品開発のために市場調査を要する場合、社員に1カ月かがりでやみくもに電話調査させるより、調査会社にアウトソーシングするほうが好結果を得られます。調査会社はその道のプロですから、新商品開に必要なターゲット層のデータの所有し、担当者すべてが電話対応スキルをもっている。おまけに電話代もかからない。
そして、調査会社に依頼している間、社員は新製品開発の準備を進めるられ、調査会社から短期間でユーザーニーズをフィードバックをもらえば、開発期間を短縮できる。開発期間を短縮できれば、開発にかかる人件費も大幅に削減できます。その上、新商品開発のペースが早まれば、年4回の新製品投入が、6回、8回と増え、新商品好きのユーザーを捉えることができ、新たな利益も獲得できるのです。
一人の社員を一人前に育てる時代ではなく、一人前の社員を100人備えた専門業者に委託する時代に突入しています。社員削減による経費削減だけではなく、そのコストを、インターネット上でビジネスを行うためのネットワーク整備など、他の分野に投資すれば、利益の範囲も広がります。アウトソーシングはコストダウンのみならず、新たな利益、ビジネスチャンスを生む可能性を潜在しているのです。
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