‥★★★20 儲けられる組織づくりをする1
■第一段階の組織のつくり方
従業員が10人以下の小規模な会社であれば、組織全体で利益をみんなで上げていこうとは考えず、社長が思いのまま仕事ができるように、組織の仕組みをつくるのが最善策です。
それでは、社長にしかできない仕事を考えてみましょう。まずは営業です。10人以下の組織であれば、営業マンは社長であり、仕事をとってこなければいけません。それに加えて製造の仕切りがあります。この2つがセットになっています。
この2つに社長を特化させることが成功要因となります。そして社長が2つの仕事に専念できるようにするため、社長の雑務をこなすパートタイマーを採用します。こうして、黒字になる仕組みをがっちりと作ります。ある程度、余裕が出たら正社員を採用して、雑務を行うパートタイマーと正社員を組み合わせていきます。
ここで留意すべきことは、冒頭に書いたように社長は「みんなで利益を上げよう」とは夢にも思ってはいけないということ。赤字の会社で一番考えやすいのは、優秀な営業マンを採用しようとする。社長以上の優秀な営業マンは、いくら探しても、いるわけがありません。
会社によってそれぞれ特性が違いますから、どんな優秀な営業マンを採用したとしても、業績を上げるまでには、1年くらい絶対かかります。それだけの教育コストを赤字会社で負担できるかといえば、切羽詰まっているわけですから、そんな余裕はないはずです。
まず考えるべきことは、社内の人材をいかに効率的に使うかです。要するに、有能である社長の能力を十分に発揮できる組織が一番いい。これが第一段階です。
■第二段階では、まず3年で優秀な人を見極める
第二段階は20人の組織です。10人から20人の組織をつくって、ある程度育てていいきます。社長ひとりで従業員20人までは管理できます。
このくらいの規模になると、数人の優秀な人が出てきます。優秀な人とは、仕事ができて、精神的に強い人であり、仕事ができるとは、営業と製造の仕切りができる人を指します。表現を変えると、最初から最後までをきちんと把握して、儲けがわかる人のことです。
仕事のできる、できないは、年齢は関係なく、本人の力と可能性の問題です。「絶対に成功したい」という、やる気と可能性ですから、3年位だとそれほど差が目立ちませんが、7年ぐらい経つと、優秀な人と普通の人とは大きな違いができます。
会社にとっては、こうした実際に稼げる人が重要です。何人いるかによって、売上を大きく左右します。稼げる人が多ければ多いほど、組織が強固になっていきます。いまの時代、組織で売上を上げるというスタイルは合っていません。だからこそ、この優秀な人の能力をいかに生かしていくことを考えなければいけません。そして、社長は彼らが働きやすい環境にコーディネートしていくのです。
稼げない人の代わりはたくさんいますが、「稼げる人=会社を支えてくれる人=経営陣になる人」の代わりはいません。3年で社長は社員の見極めをすることが大切になります。
社長に人を見極める力がないと、ムダな時間になります。優秀な人は10を教えると、それ以上を返してきますが、普通の人が返してくるのは5以下です。忙しい社長が時間をかけるのですから、しっかりと返す人間に限定していかないと、その時間がムダになるわけです。
社長のムダな時間が多ければ多いほど、赤字になりますので、社員の見極めは非常に重要です。見極める力を養うためには、営業をやると同時に、たくさんの人とつき合い、人を見ることが大切です。
■経営陣になる人たちを育てるのも第二段階
入社3年で社員の見極めをして、優秀な社員には社長のノウハウを教えていきます。社員も、社長の技を盗みたいわけですから、どんどん教えたほうがいいわけです。「絶対に成功したい」と思っている優秀な社員は、社長が教えた分、成長していきます。
そうすると、「優秀な人たち=経営陣になる人」とみんなが思うようになります。社長の片腕となるのはAさん、Bさん、Cさんだと認識するわけです。そうなると、この3人の顔つきも変わり、どんどん情報が入ったり、内容の濃い仕事をするようになったりします。ヤル気がある人は進んで勉強し、人間関係もつくっていきますから、自立して物事を進めていくようになります。普通の人とは、大きな差がついていきます。
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