‥★★★14 パソコンの私用は監視すべきなのか
■パソコンを使う弊害?
パソコンはひとり一台、メールアドレスもひとり一人ある。それが当たり前になると、プライベートでの使用をどうするかという議論がよく出ます。
「インターネット環境はどうなっていますか?」
「常時接続で、メールはレンタルサーバーで使って、従業員はみんな勝手にやっています」
「それでは、プライベートメールもいっぱい入ってくるし、エッチサイトも見ているかもしれないじゃないですか?」
企業の情報インフラ構築などを手がける会社の営業担当者が、このようにして売り込みをかけてくることがありますが、私用を監視する方がいいことなのでしょうか。
従業員から見て、「うちの会社はプライベートメール使えません。エッチサイトも見られない」というのは、不便です。会社にしても、コンピュータに熟練した従業員がたくさんいたほうがよくなります。
検索して自由にホームページを見ることができない従業員がいれば、
「どうすれば見たいホームページにたどり着けるの?」
などと、基本的なことをまわりに聞くことにもなります。そんな従業員がいたら、それだけで効率が落ちます。
インターネットが普及したのは、エッチな画像を見られるからというのが大きいのです。それを禁止したら、ホームページを使う意味がなくなります。
メールにしても、プライベートメールも会社でやりとりできたほうが便利に決まっています。「プライベートメールはダメ」と決めたら、仕事に発展するかもしれないプライベートな関係さえも、うまくいかなくなります。
■理論は合っていても、ムダになる
「メールがだれでもできるようになると、会社の機密情報が外に漏れるから、ひとり一人にはメールアドレスを渡していません」
このような会社もありますが、ひとり一人にメールアドレスがなければ、仕事もスムーズに流れなくなります。そもそも機密情報は、メールアドレスがあれば漏れるというものではありません。フロッピーやMOにコピーすれば、簡単に持ち出せます。
機密保持を考えること、あるいは勝手に会社の設備であるパソコンを使うのを禁止することは、理論的には合っています。しかし、それをすると会社が赤字になります。監視することにより、ムダな動きが増えるからです。
ホームページ閲覧の制限をするためには、プロテクトをかけて制御しなければなりません。そうすると、従業員のスキルをわざわざ落とすことになります。
パソコンの私用を監視するのは、理論的には合っていても、会社の利益をどうやって出すのか、従業員ひとり一人の売上をどうやって伸ばしていくのか、どうやって効率よくやるのかという志向が一切抜けていて、従業員の管理をすることが目的になっています。
■内部告発により、社内を活性化する
会社としてやるべきことは、個人のプライバシーをきっちりと守り、内部告発できる仕組みを整えることです。「プライバシーは守りますから、どんどん内部告発してください」と、きっちすれば、管理はいらなくなります。
エッチサイトばかり見ていたり、ネット証券で株の売買をしていたりする従業員がいたら、それに気がついた従業員がその窓口にメールできるようにする。あるいは、メールを通じた誹謗中傷やセクハラなどがあった場合、窓口にメールできるようにすればいいのです。監視や管理しなくても、まわりの従業員は気がついているはずです。
いまの主流となっている考え方は、個人のプライバシーの尊重したうえで、内部告発させて、会社を活性化すること。メールを見ることは、それと逆行していることです。
なんのために会社で監視や管理するのかといえば、利益を出すためです。それが管理のための管理になったら、おかしくなります。
従業員が「会社にいれば、給与をもらえる」という考えだと、仕事とプライベートのけじめがつかなくなり、パソコンで遊んでいる時間が増えます。会社が利益を出すために、「貢献しなければ、給与はもらえない」と考えていたら、遊んでいる時間はなくなるはずです。
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